日本取引所:インサイダー取引の可能性で調査に着手-アキュセラ株
日向貴彦、Kathleen Chu日本取引所グループが、眼疾患治療薬の開発を専門とするバイオベンチャーのアキュセラ・インク株式でインサイダー取引が行われた可能性があるとして、調査に着手したことが関係者への取材で分かった。
東京証券取引所や自主規制法人を傘下に持つ日本取引所は、東証マザーズ市場に上場するアキュセラ株が、治療薬の臨床試験が不調に終わった後、26日の会社発表の前日に急落していたことから、インサイダー取引の疑いがあるとみて調査を進めるとみられる。
25日の取引で上昇して始まったアキュセラ株は午後1時50分ごろから急落に転じ、1000円(15%)下げストップ安となった。翌26日午前7時30分に同社はドライ型加齢黄斑変性治療薬「エミクススタト」の臨床試験が主要評価項目で目標を達成できなかったと開示した。その後も2日連続でストップ安となった。
アキュセラの柏野裕美広報担当に取材を試みたがコメントは得られていない。日本取引所の青沼見和広報担当は個別案件については言及を控えるとしながらも、同取引所は日ごろから市場の取引を注意深く監視していると述べた。
不自然な動き
立花証券の千葉明弘アナリストは、アキュセラの発表前日の株価動向について不自然であるとの見方を示した。また、臨床試験が不本意な結果になったことは、治療薬の開発と収益化が大幅に遅れることを意味するだろうと分析した。
25日のアキュセラ株の出来高は、2016年の1日平均の約6倍に当たる361万3500株だった。株価は今回の下落分を差し引いても、年初来では約5倍に上昇、時価総額は27日時点で1530億円となっている。
アキュセラは米国シアトルに本社を置く。失明や視力低下を招く眼疾患の治療、または進行を遅らせる薬品の開発に取り組んでいる。