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台湾の鴻海、シャープの支援契約、31日に締結へとの報道否定

  • 鴻海、30日に取締役会を開催、そこで交渉の議論の有無を決定へ
  • 銀行団、シャープの融資期限延長へ、鴻海との買収交渉に時間的猶予

台湾の鴻海精密工業は27日、シャープと31日に買収契約を結ぶことを目指すとの報道を否定した。同社は30日に取締役会を行う予定で、シャープとの協議の進展度合により、交渉について議論するかどうかを決めるとしている。台湾証券取引所に提出した文書で発表した。

  日本経済新聞は26日付の朝刊で、両社は買収について25日までに大筋合意。30日にそれぞれ取締役会を開いて買収条件の見直しを決め、31日に契約締結を目指すなどと報じていた。

  複数の関係者によると、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行を含む銀行団は、3月末が返済期限となる5100億円のシャープへの協調融資の大部分について、返済期限を延長する方針だ。鴻海精密工業による買収交渉が停滞していることに対応する。延期の期間は長ければ1カ月程度になるという。

  シャープの買収をめぐっては、鴻海と日本の政府系ファンドの産業革新機構が競ってきたが、シャープは2月25日の取締役会で郭台銘(テリー・ゴウ)会長が率いる鴻海からの買収受け入れを決めた。しかし鴻海は「新たな重大情報」について精査する必要があるとして、正式契約を延期するとシャープの決定直後に発表。買収は、シャープの発表から1カ月が経過しても契約が締結できない異例の展開となっている。

  関係者の1人によれば、鴻海はシャープへの出資額を当初予定していた4890億円から1000億円程度減らすことを検討している。主要取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行が保有する優先株のそれぞれ半数については、予定通り総額1000億円で買い取るが、支払い時期は遅くなる可能性がある。

  またシャープと主要取引銀行は、月末までに買収案を承認することを目指している、という。融資の返済期限が延長されたことで、4月中に契約がずれ込む場合もある。

  シャープとみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の広報担当者はいずれもコメントしなかった。

  日経新聞は、鴻海は出資額を1000億円減額し、内金として1000億円の保証金をシャープに支払い、契約締結を目指すなどと報じた。みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行は30日までに3000億円規模の追加融資枠の設定などを正式に決めるという。

  この報道について、シャープ広報担当の関喜文氏はコメントを控えた。

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