中国復星集団G、東京ビルやホテルに投資拡大-運用資産5000億円へ
桑子かつ代、Gareth Allan-
3-4年間で日本法人が運用資産残高を現在の2.5倍に拡大する計画
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イデラキャピタルマネジメントの平井会長が取材で語った
中国のコングロマリット、復星集団グループが対日不動産投資の拡大を計画している。海外投資家の資金や借り入れで都内のオフィスビルや観光地のホテルなどへの投資を進め、日本法人の運用資産残高を現在の2.5倍の5000億円程度に拡大する考えだ。世界的な低金利を背景に、日本の不動産の比較的高い利回りに関心を強めている。
復星集団傘下の日本法人、イデラキャピタルマネジメントの平井幹久会長はブルームバーグの取材に対し、「日本の不動産投資の運用残高を現在の2000億円程度から3-4年間で5000億円に持って行く計画だ」と述べた。親会社である復星集団や海外の保険会社などから投資資金の受け入れを増やすほか、日本での上場リートも計画している。
主要国では低インフレや景気鈍化に加え、英国の欧州連合(EU)離脱支持の国民投票を受けて市場が不安定化したことを受けてリスク回避から、日本やドイツ、フランスで一部の国債利回りがマイナスとなっている。ドイチェ・アセット・マネジメントの調査では、オフィスビル取引での平均イールドスプレッド(国債金利と投資利回りの差)は東京が420ベーシスポイント(bp)なのに対し、ニューヨークやロンドン240-320bp、香港210bp。平井氏は「低利で悩む資金が東京の不動産市場に流入している」と話す。
平井氏はイデラキャピタルの投資スタンスを「将来の価値上昇を期待し、基本的に長い期間の投資」と説明する。具体的には都心の低稼働のオフィスビルを購入後にテナントを増やして稼働率を向上させ、高収益の資産に再生した後、高価格で売却するなどの手法を用いる。古かったオフィスビルが内装工事を経て稼働率が3割台から9割に上がった例もあるという。
さらに、円高や観光ビザの緩和などで訪日観光客が増えている日本のホテルについても、中国の親会社は有望な投資対象として検討、50億ー100億円程度のホテル案件を探しているという。昨年12月に復星集団の傘下企業が約183億円で北海道のスキーリゾート「星野リゾートトマム」を取得した。イデラキャピタルは復星集団が98%出資している。
英問題の影響小さい
英国のEU離脱を決めた国民投票の影響については、世界の金融市場の混乱がある程度予想されるものの、「不動産業は地場の経済活動なので、影響があるとしても二次的だ。製造業やサービス業に比べるとインパクトは小さい」と述べた。また英投資家からの資金は受託していないため、「投資計画を見直すことはない」と語った。
一方、国内市況の先行きについては2018年には都心でオフィスビルの大量供給が予想されているため、「日本経済が活性化しないと需要が出ず、オフィスを埋められなくなる」との懸念を示した。