世界は日本に魅力感じず、外国人労働者の受け入れ拡大に落とし穴
片沼麻里加、Isabel Reynolds-
移住による人口増加予想、日本は1%-カナダ147%、米国46%
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国内世論は受け入れに寛容、減らすべきだは13%
少子高齢化に伴う深刻な人手不足を食い止めようと安倍晋三政権は外国人労働者の受け入れ拡大にかじを切ったが、肝心の人材が日本に集まらない可能性もある。
米調査会社ギャラップは、移住したいと考える世界中の成人が希望通りの国に移った場合、日本の人口は1%増えると予想した。同社は2015年から17年まで152カ国の45万人を対象にアンケートを実施。移住による潜在的人口増加を算出した結果、カナダは147%、米国は46%とそれぞれ大幅増が見込まれた。
政府・与党は8日、野党の反対を押し切る形で外国人労働者の受け入れを拡大するための入管難民法などの改正案を国会で成立させた。来年4月1日から施行される。政府は介護、建設、農業など14業種で5年後に145万5000人の人手不足を予想し、5年目までの累計で最大34万5000人の受け入れを見込む。
今回の法改正で受け入れ拡大の対象となったのは主に単純労働者だが、外国人にとって日本は魅力的な国とは映っていないというデータがある。
スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)が63カ国を対象に高度なスキルを持つ人材を引きつける力について比較した18年の調査によると、日本は29位にとどまった。「企業幹部の国際経験」や「語学力」の項目での低評価が目立った。スイスが5年連続で首位。米国は12位で、アジアではシンガポール、香港、マレーシアや台湾が日本を上回った。
日本は世界の人材獲得競争で後れを取るが、国内は移民の受け入れにより寛容な社会へと向かっている。米ピュー・リサーチ・センターが27カ国を対象に今年実施した世論調査によると、「移民の受け入れを減らすべきだ」との回答は日本が13%と最も低かった。フランスが41%、英国は37%、韓国では28%が受け入れの減少を支持するなど、多くの国が移民に厳しい姿勢を示した。日本は23%が「受け入れを増やすべきだ」と回答し、58%が「現状維持」だった。