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スペインとポルトガルが制裁回避-EU懐疑論や緊縮への不満に配慮か

  • 今の時期の懲罰的アプローチは最適な手法でないとモスコビシ委員
  • 両国の救済後に納税者が払った犠牲にも欧州委は配慮

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、EU基準を上回る財政赤字の是正措置が不十分と認定したスペインとポルトガルについて、制裁の発動見送りを財務相理事会に提案することを決めた。財政緊縮への国民の不満やポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭する状況が制裁回避の背景にありそうだ。

  欧州委のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は27日のブリュッセルでの記者会見で、スペインとポルトガルが直面する厳しい経済情勢を理由に制裁を科さないよう提案することを決定したと語った。欧州委が制裁を提案し、財務相理事会が承認すれば、両国は最大で国内総生産(GDP)の0.2%相当の罰金が科される可能性があった。

  モスコビシ委員は「欧州への懐疑的な見方が広がる今の時期に懲罰的なアプローチは最適な手法ではないと判断した」と説明。両国の救済後に納税者が払った犠牲にも欧州委が配慮したことを明らかにした。EUは加盟国の単年度の財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以内に抑える財政基準を定めているが、スペインの昨年の財政赤字比率は5.1%と是正目標の4.2%を上回り、ポルトガルも4.4%と目標を達成できなかった。

原題:Spain and Portugal Dodge EU Fine for Breaching Deficit Limit (1)(抜粋)

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