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テスラ株下落、現金不足の恐れが露呈-買収計画に関する届け出で

  • ソーラーシティー買収計画の発表以降で最大の下げ
  • スペースXのロケット爆発も売り材料か
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イーロン・マスク氏にとって不確実要因が積み上がっている。

   テスラモーターズによるソーラーシティー買収計画に関する新たな情報が開示された翌日の1日、両社の株価は下落。テスラ株の下げ率は6月の買収計画発表以降で最大となり、マスク氏が同計画を押し通し、不振のソーラーシティーを救うことができるか新たな疑問が生じている。

ソーラーシティーの株価

  買収が実現しない場合、33億5000万ドル(約3500億円)の債務を抱えるソーラーシティーの存続は困難になる恐れがある。両社の筆頭株主であるマスク氏にとって個人的な痛手にとどまらず、家庭や自動車、工場への動力の供給方法に革命をもたらすとした自身のビジョンにも疑問を投げ掛ける可能性がある。投資家の信頼を失えば、テスラは「モデル3」セダンの開発・製造に必要な資金を調達できなくなる恐れもある。

  ソーラーシティーの価値がテスラよりも速いペースで落ち込んでいることは、買収計画の頓挫を予想する投資家が増えていることを示唆すると、ガーバー・カワサキ・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメントの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のロス・ガーバー氏は指摘する。8月31日の届け出は、実際に提案を行っている買い手候補は他に存在せず、ソーラーシティーは現金調達が難しくなっていることを示しており、テスラ以外に救い手はない状況だという。

  ガーバー氏は電話インタビューで、「買収完了が危ぶまれていることを示す。ソーラーシティーの債券をオファーされたが、われわれは見送った。われわれが保有するテスラ株のうち40%をこの数カ月で売却した。私のようなファンがイーロン・マスク氏に資本を提供しなければ、誰も提供する人はいないだろう」と語った。

投資家の不安を反映

  テスラの株価は1日、一時5.4%安と、ソーラーシティー買収計画発表後の最初の取引日である6月22日以来の下げ率となった。ソーラーシティーも大幅安。マスク氏はテスラの会長兼CEO、ソーラーシティーの会長を務める。

  テスラは5月に14億ドル規模の公募増資を実施し、その翌月にソーラーシティーへの買収提案を発表したが、これらの出来事よりも前にテスラの取締役会がソーラーシティーとの統合案について説明を受けていたことが、8月31日の米証券取引委員会(SEC)への届け出で明らかになった。

  ガーバー氏は電子メールで、「これは開示されるべきだった重要な問題だ」と指摘した。

  全額株式交換によるソーラーシティー買収計画に関する開示情報は、買収後にテスラが対処しなければならなくなる現金燃焼の見通しも示している。バークレイズのアナリスト、ブライアン・ジョンソン氏は「現金燃焼はかなり深刻だ」と指摘。「銀行は小切手を書く準備はまだないようだ」と述べた。

  スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)のロケットが1日、フロリダ州ケープカナベラルで爆発したことも株価の下げ要因となったようだと、オッペンハイマーのアナリスト、コリン・ラッシュ氏は指摘した。マスク氏はスペースXの最大株主。

原題:Tesla Falls After Cash Needs Exposed by SolarCity Merger Filing(抜粋)

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