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1ドル=120円への円安予想、もう非現実的ではない-130円の声も

更新日時
  • AMPキャピタルやBNPは13年ぶり安値125円86銭を下回ると予想
  • 日米の利回り格差拡大がドルを対円で押し上げる-BofA

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のストラテジスト、マンスール・モヒウディン氏(シンガポール在勤)が半年前に円安を予想した際、賛同者はほとんどいなかった。だが今では、1ドル=120円までの円安進行を見込む仲間がたくさんいる。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)は来年末に円が同水準に下落すると予測。AMPキャピタル・インベスターズやBNPパリバはもっと弱気で、円が昨年6月に付けた13年ぶり安値の125円86銭よりも安くなるとみている。モルガン・スタンレーに至っては、2018年半ばまでに130円を付けると予想。オプション市場では、3カ月物の円コール(買う権利)のプレミアムが15年11月以来の低水準に下がった。

円の弱気派の声強まる

  円は11月8日の米大統領選以降、対ドルで7%余り値下がりし、パフォーマンスが先進国通貨の中で最悪。当選したドナルド・トランプ氏が財政刺激を公約して米国債が売られ、日米の債券利回り格差が11年以来の大きさに開いたことが背景だ。

Asakusa Tori-no-ichi Fair Ahead of CPI Figures

1000円札を持つ買い物客

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  BofAのアジア通貨・金利戦略共同責任者クラウディオ・パイロン氏(シンガポール在勤)は「利回り格差がドルを対円で本当に押し上げるだろう」とし、「G7通貨の中で金利に最も敏感な通貨は円になる」と付け加えた。

  日本時間28日午後0時39分現在の円相場は、1ドル=111円82銭。オプション市場では円上昇に賭けるコストが低下。ブルームバーグの集計データによると、円3カ月物のプット(売る権利)に対するコールのプレミアムは先週末時点で約0.3ポイント。これに対し、今月8日は1.8ポイントだった。

  AMPキャピタルで投資ファンドを率いるネーダー・ナエイミ氏(シドニー在勤)は円が1ドル=108円に強含む局面があれば、円下落に賭けるポジションを増やすと話す。米大統領選前から円安に賭け始めた同氏は「短期的に調整が起きる可能性は強い」として、円安は「1本調子にはならない」と予想した。

  モルガン・スタンレーが円は売りとみる理由は、日本銀行の長短金利操作による日米の利回り格差拡大だ。同行のハンス・レデカー氏率いるアナリストらは27日付のリポートで、円が来年末に1ドル=125円まで下がり、18年前半には02年以来の安値となる130円に値下がりすると予想した。

  ブルームバーグが調査対象とした金融機関で来年の円相場に最も弱気だったのはBNPパリバで、10%余り値下がりして1ドル=128円に達するとみている。 

原題:Yen at 120 Lonely Call No More for Analyst Who Got It Right (1)(抜粋)

(第2段落などにモルガン・スタンレーの予想を加え、相場を更新します.)
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