クリントン氏メール問題、訴追せずと再捜査でも結論-FBI長官
Alex Wayne-
コミーFBI長官が米大統領選の直前に議会に書簡を送った
-
7月決定見直しにつながる事実ないと確信していたとクリントン陣営
米連邦捜査局(FBI)のコミー長官は6日、米議会に書簡を送り、米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏による国務長官時代の私的な電子メール使用について、犯罪に相当しないという結論に変更はないと伝えた。大統領選の投開票を2日後に控えて、女性初の大統領を目指すクリントン氏にとって追い風となりそうだ。
アダム・シフ下院議員(民主、カリフォルニア州)が同日公表した書簡によると、クリントン氏の私的メール使用と関係する可能性がある新たなメールを調査していると10月28日に議会に伝えて以降、問題のメールを「FBIの調査チームが24時間体制で調査してきた」とコミー長官は説明。「その過程でクリントン氏が国務長官時代に受信・送信した全てのやりとりを調べた結果、われわれが7月に示したクリントン前国務長官に関する結論は変わらなかった」とコメントした。
クリントン陣営の広報担当を務めるブライアン・ファロン氏はツイッターで、「7月の決定の見直しにつながる事実は何もないとわれわれは一貫して確信していた」と表明。これに対し、トランプ氏の選対本部責任者ケリーアン・コンウェイ氏は、それならなぜクリントン氏と同陣営は「コミー長官とその信頼性を攻撃したのか」とツイッターで反論した。
FBIの報道官は、コミー長官の書簡について詳細な言及を控えている。クリントン陣営のコミュニケーションディレクター、ジェニファー・パルミエリ氏は、コミー長官が「7月に達した結論を確認したものであり、この問題が解決したことは喜ばしい」とコメントした。
シフ下院議員は発表文で、「最初の書簡は大統領選がこれほど差し迫った時期に送られるべきでは決してなかった。だが、これら一連の電子メールの捜査が迅速に行われたことで、トランプ陣営などが言いたい放題に広めている無責任な臆測がきっぱり収まるはずだ。有権者は真価に基づく意思決定がこれで可能になるだろう」と主張した。
コミー長官は7月の段階で、クリントン氏と側近らが私的な電子メールサーバーでの機密情報の取り扱いについて「極めて不注意」だったとしながらも、検察当局はこの件を刑事事件として立件しないという結論を示していた。FBIに捜査再開を促した新たなメールは、クリントン氏の側近であるヒューマ・アベディン氏のもので、同氏の別居中の夫、アンソニー・ウィーナー元下院議員が、わいせつなテキストメッセージを少女に送付した疑惑めぐるFBIの捜査の過程で同氏のコンピューターから見つかった。
クリントン氏のメール問題が犯罪でないとの再捜査での結論が、大統領選で同氏に有利に働くとの見方が広がり、米株価指数先物は6日夕方に一時1.3%上昇。ドルも主要10通貨に対して値上がりし、メキシコ・ペソは7日のアジア時間帯早朝の取引で大幅高となっている。
原題:FBI Says Its Conclusions on Clinton’s E-Mails ‘Not Changed’ (4)(抜粋)