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豪州主導でTPP代替案の検討に着手-米国抜きの発効も選択肢

  • 世耕経済産業相:米国が入ることは極めて重要
  • マレーシアなどは中国主導のRCEPに注力すると表明

トランプ米大統領が23日に米国の環太平洋連携協定(TPP)離脱を正式に表明したことを受け、オーストラリア主導でTPP代替案の検討が始まった。

  豪州のターンブル首相は安倍晋三首相と23日夜にTPPについて協議したほか、ニュージーランド(NZ)とシンガポールの首脳とも話し合ったことを明らかにした。チオボー貿易・投資相は24日、ABCラジオとのインタビューで、米国抜きのTPPは「非常にあり得る選択肢だ」と語った。

  ターンブル首相は24日、シドニーで記者団に対し、「われわれ全員が市場開放と自由貿易に向け、どのようにすれば現在の勢いを維持できるか方策を探っている」と発言。「TPPから米国が離脱するのは大きな損失であり、そのことは疑いない。しかしわれわれは豪州の雇用に関するコミットメントを破棄するつもりはない」と表明した。

  何らかの代替案が具体化するかどうかは不透明だ。萩生田光一官房副長官は24日午前、記者団に対し、米国を除く11カ国でTPP発効を目指す考えは現在はないと述べた。一方、世耕弘成経済産業相は記者団に、最大規模の経済である米国が入ることは極めて重要であり、トランプ政権側に戦略的、経済的な意義を粘り強く訴えると発言した。

  シンガポールは米国抜きでもTPP発効を後押しすると示唆している。ニュージーランドのマクレー貿易相は対応策協議のためTPP参加国の閣僚が向こう数カ月以内に会合を開くことを期待すると電子メールで表明。「米国が参加することが望ましい」が、米国抜きでも他の参加国との自由貿易協定として意義があると指摘した。

  チオボー豪貿易相はこれまでにカナダ、メキシコ、日本、NZ、シンガポール、マレーシアの各国と協議をしたと述べ、米国抜きでも前進できるかどうかはトランプ政権の北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉にも左右されると説明した。

  しかしTPP代替案が検討される中でも、マレーシアなどは現在、中国が主導する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉妥結に注力する方針を表明している。

原題:Australia Leads Push for TPP Without U.S. After Trump Exits Deal(抜粋)

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