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運用業者育成でファンド設立、東京都が300億円規模、減税も-関係者

  • 国内機関投資家の出資で「ファンド・オブ・ファンズ」運用
  • 法人実効税率を実質20%台へ、資産運用業とフィンテック対象
都庁

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(AP Photo/Shuji Kajiyama)

東京都は、資産運用業者の育成プログラム(EMP)を創設し、来年度にも300億円規模でのファンドの運用開始を目指す。東京都が10日に発表する「国際金融都市・東京」構想に基本方針を盛り込む。構想内容に詳しい関係者が明らかにした。

  非公開情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、EMPでは国内の政府系金融機関や公的年金など機関投資家から資金を集め、ファンド・オブ・ファンズを設定。新興運用業社にシード資金として提供する。東京都は、経費や手数料などにかかる約3億円を補助をする。資金調達面で不安を抱える新興資産運用業者の独立や運営を支援することで、1800兆円にのぼる国内の個人金融資産を有効に活用し、市場活性化の仕組みを作る。

  日本でのファンド設立には免許取得に時間がかかったり、設立間もない運用会社は運用実績データ不足などで投資家から運用資金を集めるのが困難なのが現状。京都大学経営管理大学院の砂川伸幸教授は、「バブル経済崩壊後、日本では金融の地位が低くなっており金融業を育成するプログラムは有益」とコメント。日本の資産運用人材は優秀だが、そういう人にチャンスを与える支援が必要だとの見方を示した。

  東京都によると、資産運用会社の数は15年統計で香港が約1140社、シンガポールが約630社に対し、日本は約340社にとどまっている。EMPは、米国のカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)やニューヨーク市公務員年金基金(NYCERC)などが取り組んでおり、次世代人材の育成だけでなく投資機会やリターン成績などで一定の成果を上げている。

法人税20%台へ

  税負担軽減に向けた見直しにも着手する。現在30.86%の都の法人実効税率を低減すると同時に、内閣府に国家戦略特区における所得税控除の対象に資産運用業とフィンテック企業を加えることを働き掛け、法人実効税率を20%台に引き下げることを目指す。米国ではドナルド・トランプ大統領が先月、連邦法人税率を現行の35%から20%に削減する税制改革案を示している。

  東京都の小池百合子知事は、アジアの金融ハブとしての国際都市を目指し昨年11月に懇談会を設置。資産運用業やフィンテックに焦点をあて、ビジネス環境の整備や外国人高度金融人材の生活環境充実に向けた施策を議論してきた。20年度までに運用業社やフィンテック系の外資40社を誘致する。

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