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国債4.4兆円を追加発行、3年ぶり赤字国債も-今年度補正予算案 (2)

更新日時
  • 建設国債と赤字国債の追加発行額は各2.2兆円-政府が閣議決定
  • 新たな経済対策の実施などに伴う追加歳出は4.5兆円

政府は13日、2019年度補正予算案を臨時閣議で決定した。新たな経済対策の実施などに伴う追加歳出は4兆4722億円。税収が2兆3150億円下振れる見通しも踏まえて、国債を4兆4214億円追加発行して歳入に充てる。

  歳出のうち、5日決定した経済対策に伴う支出は4兆3030億円。歳入は18年度の剰余金8016億円などに加え、経済対策の財源として建設国債を2兆1917億円、税収減を補うために赤字国債を2兆2297億円、それぞれ追加発行する。年度途中での赤字国債の発行は3年ぶり。

  一方、マイナス金利下で、国債の積算金利(1.1%)を下回る市場実勢を踏まえ、利払い費を含む国債費を中心に1兆2908億円の経費削減を見込む。追加歳出と経費削減分を差し引きすると、今年度予算は当初予算から3兆1946億円上振れ、104兆6517億円となる。

  菅義偉官房長官は記者会見で、赤字国債の発行について「海外経済の影響を受けた税収の減少」によるものと説明。その上で、「こうした海外経済を要因とした先行きリスクに対応するため、今回の経済対策を策定した。経済対策を着実に実行することにより持続的な経済成長を実現し、経済成長と財政健全化の両立を図っていきたい」と語った。

キーポイント
  • 追加歳出は4兆4722億円
    • 災害からの復旧・復興に2兆3086億円
    • 経済の下振れリスク対応支援に9173億円
      • 中小企業の生産性向上に3847億円
      • 農林水産業の輸出力強化などに3428億円
    • 東京五輪後の経済活力の維持・向上に1兆771億円
      • ポスト5G情報通信システム基盤強化に1100億円
      • 安全運転サポート車普及に1139億円
      • 小中学校パソコン1人1台整備に2318億円
      • キャッシュレスポイント還元に1497億円
  • 税収見通しを当初62兆4950億円から2兆3150億円減額
    • 所得税は8700億円減の19兆640億円
    • 法人税は1兆1430億円減の11兆7150億円
    • 消費税は3300億円減の19兆620億円
  • 赤字国債を2兆2297億円追加発行ー税収減に対応
  • 建設国債を2兆1917億円追加発行ー追加歳出に対応

  今年度の税収は基幹3税がそろって下振れし、60兆1800億円を見込む。所得税は大口親子間配当に伴う還付金や株式譲渡所得が当初見込みを下回っていることに加え、法人税は海外経済の減速を受けて製造業を中心とした企業収益の下振れの影響を織り込んだ。消費税も当初見込みを下回っていることを反映させた。

  国債の追加発行に伴い、今年度の国債発行予定額は当初を6兆1303億円上回る154兆8596億円に修正。カレンダーベースの市中発行額は129兆4000億円に据え置き、翌年度に発行する予定の借換債を前倒しで発行する前倒し債の取り崩しで5兆1600億円を賄う。

  補正予算案の編成に伴い、今年度の財政投融資計画を1兆4503億円増の14兆5697億円に修正する。増額分を踏まえても、07年度以来の低水準を維持。具体的には新名神高速道路の6車線化整備に5500億円、無電柱化や世界レベルのホテル整備などの資金需要に対応する日本政策投資銀行に5000億円を提供する。

(第4段落に菅官房長官の発言を追加して更新しました)
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