米国債入札にトレーダーの警戒強まる-応札倍率が09年以来の低水準
Brian Chappatta-
10年債の応札倍率の2年平均、危機の影響があった時期以来の水準に
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財政赤字の増大が見込まれる中、米国債需要はさらに弱まる可能性
世界で最大の債務を抱える米国の懸念材料にもう一つ不安の種が増えた。米国債入札での需要減退だ。
過去2年間、米国が必要なだけ借りることができなくなる危険はなかったものの、需要の減少は間違いない。投資家の応札額と落札額を比較した応札倍率の数字を基にすると、米10年債の需要は平均して2009年10月以来の低水準に落ち込んでいる。
このデータは債券トレーダーにとって、低調な入札が米国債の損失につながることを示唆するものではなくとも、米財政赤字が膨らみ金融当局が利上げする中で投資家の米国債離れを示す前触れと映る。ジェフリーズの短期金融市場エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は、「残念ながら良い脚本はない」と述べ、金利が上昇する中での「米国債供給は市場離れという自然な動きをさらに悪化させる」と指摘した。
政府の資金ニーズは既に増大し始めている。トランプ政権の減税策の結果、財政赤字は拡大する見込みで、次年度には1兆ドル(約107兆円)近くに達する見通し。加えて、米国の債務は既に21兆ドル近くに上っており、どの国よりも多い。短期債を除くと、米政府は今週、3年債と10年債、30年債で計620億ドルの国債入札を予定している。総額は1月に同じ年限で実施した入札より約60億ドル多い。
10年債の応札倍率は過去2年間の平均で2.46倍と、金融危機の影響があった時期以降で最低。13年の時点では2年平均は3倍を上回っていた。現在の水準は1倍割れにはまだ程遠く、その水準を近く試すと予想する人もいないが、最近の低下で警戒感は強まっている。
BMOキャピタル・マーケッツの債券戦略責任者、アーロン・コーリ氏は、「応札倍率が高く上昇していたのは、米金融当局の買いで利回りが押し下げられていた時だった。米金融当局が敵側に回っているなら、米国債は保有するのに最善の投資先ではなく、需要に打撃を与えることは間違いない」と指摘した。
原題:Bond Traders Haven’t Been So Leery of U.S. Auctions Since Crisis(抜粋)