パウエル議長、利下げの論拠を補強-景気下振れリスク強まった
Matthew Boesler、Rich Miller-
個別指標や短期的な心理の揺れに「過剰反応すべきでない」とも言明
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「弱さが見えれば早めの対応がベター」-利下げ時の幅には言及せず
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は米経済への下振れリスクが最近強まったと発言、幾分か低めの金利に関する政策当局者らの論拠を補強した。
パウエル議長は25日、ニューヨークの外交問題評議会(CFR)で講演。講演の原稿によると、「貿易に関してあったようにみえた進展が不確実性の深まりに転じ、入手するデータは世界経済の強さに対する懸念を再燃させており、相反する流れが再び生じている」と話した。議長の講演は先週の連邦公開市場委員会(FOMC)声明の一部と会合後の記者会見での発言を繰り返す内容だった。
パウエル議長は「多くのFOMC参加者は、さらに幾分か緩和的な政策の論拠が強まったと判断している」と語った。
一方、議長は講演原稿で、個別指標や短期的な市場心理の揺れに「金融政策として過剰反応すべできないとも心掛けている」と言明。「そのようにすれば見通しの不確実性が一段と高まりかねない」ためだと説明した。その上で、「経済見通しに関して今後入手する情報の意味合いを注視し、景気拡大を持続させるために適切に行動していく」との考えを示した。
パウエル議長はまた、トランプ大統領を名指ししなかったものの、FRBが政治的干渉から独立していることの重要性を強調。「米金融当局は短期的な政治的圧力から守られている。これはしばしは当局の独立性と言われる」と指摘。「議会は米金融当局をこうした方法で守る選択をした。政策が短期の政治的利害に屈することでしばしばダメージが生じたことが理由だ」と述べた。
同議長はさらに、「昨年12月以来、多くの変化があった」と述べ、世界経済成長予想が「かなり」落ち込んでいると指摘。昨年の利上げは米金融当局の判断ミスだとするトランプ大統領らの主張をはねのけた。議長は利下げする場合の幅に関しては直接的に言及せず、「弱さが見えれば早めの対応がベターだ」との考えを示した。
このほか、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁とセントルイス連銀のブラード総裁がインフレとインフレ期待の押し上げを図るための利下げの必要性を主張していることに議長も同調。「一層の政策緩和、利下げが経済活動を支え、インフレに上昇圧力を強めるだろう。これが利下げを支持する意見だと言えよう」と述べた。
原題:Powell Reiterates Stronger Case for Cut Amid Economic Risks (2)(抜粋)