ユーロ圏経済への信頼試されるドラギECB総裁、政策委後の会見注目
Piotr Skolimowski、Alessandro Speciale-
ECBは政策据え置きへ、フランクフルト時間午後1時45分決定発表
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最近の低調な経済指標や資産購入縮小プランを会見で質問される公算
ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の26日の記者会見では、総裁がユーロ圏経済をどの程度懸念しているかという同じ質問が繰り返されそうだ。
ユーロ圏は昨年、10年ぶりの好景気となった後、企業景況感の弱まりや工業生産の減少など勢いを失いつつあるように見える。しかしドラギ総裁とECB当局者らは、域内の経済成長が減速よりむしろ安定しつつあると指摘している。
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ドラギ総裁は政策決定会合後フランクフルトで午後2時30分(日本時間同9時30分)から開く記者会見で、域内経済の明るい見通しを再確認しつつ、債券購入を終了する方向に慎重なアプローチを取る論拠を再び説明する機会を得る。
エコノミストらはドラギ総裁が6月までは政策や文言の変更を発表するとは予想していない。事情に詳しい複数の当局者によると、6月には最新見通しが発表され、インフレ率を持続的に2%弱の水準に押し上げる当局の目標に到達するかどうかが示される見込みで、総裁が7月まで待つ可能性もある。
ドラギ総裁が言及する可能性の高い重要ポイントは以下の通り。
経済
ここ数週間に発表された経済指標が失望的な内容となり、ユーロ圏の好景気は既に弱まりつつあるとの懸念が浮上。ECB当局者は経済指標の「落ち着き」を認めたものの依然として楽観しており、経済成長が着実なペースに安定しているにすぎないと示唆している。
コアインフレと賃金
変動の激しいエネルギーと食品を除いたコアインフレ率は3月に予想に届かず、3カ月連続で1%にとどまった。ただ、ECB当局者が待望する物価圧力が緩やかに高まる状況に近づいている兆候はある。経済の余剰能力に最も強いつながりのある項目を重視してブルームバーグ・エコノミクスが算出するスーパーコアインフレはここ数カ月に緩やかに上昇。ドイツでは公的部門の職員や工場労働者が賃上げで合意しており、インフレ率の押し上げが見込まれる。こうした賃上げ合意が政策当局者を安心させるとドラギ総裁が言及するかどうかは記者会見での注目点の1つだ。
QEの微調整
資産購入の終了を巡る臆測が飛び交う中、ドラギ総裁は債券購入プログラムの1つからの段階的な撤退を既に開始したのかどうかを問われる可能性もある。ドイツ銀行のエコノミストらは最近のリポートで、ECBが社債購入プログラムの終了に向け「ステルス・テーパリング(ひそかな購入縮小)」を始めていると指摘。購入ペースは今月に入り半減したと分析している。
原題:Draghi’s Faith in Euro Economy Tested as Growth Doubts Emerge(抜粋)