米金融当局、中立金利の推計値を下方修正-景気刺激には利下げ必要に
Steve Matthews-
景気の加速、減速のいずれも招かぬ中立金利推計を2.5%前後に下げ
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現行のFF金利誘導目標ではもはや緩和的でないことを意味するか
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長をはじめとする金融当局者は、19日に公表した最新の経済予測で、景気の加速も減速も招かない中立金利の推計値を2.5%前後と、3月の前回予測の2.75%から下方修正した。2014年には4%と推計していたこともあった。
現行のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジが2.25-2.5%であることを踏まえると、米景気てこ入れのためにはさらなる低金利が必要とされる可能性を意味し、見通しへのリスクが高まる中で実際、当局者17人中8人は年内利下げが必要になるとの予想を示した。
7月利下げを見込むドイチェ・バンク・セキュリティーズのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は「これは非常に重要だ。米金融当局は何年も、金融政策は緩和的で成長とインフレを支えると主張してきた」とし、「過去10年の緩和を経て、当局は政策がもはや景気刺激的でないと判断した」と語った。
この結果、世界的な成長鈍化やトランプ大統領が進める貿易戦争に伴う通商面の混乱など、逆風の影響を克服して成長を押し上げたいと当局が望むなら、利下げが必要になりそうだ。パウエル議長は25日にニューヨークの外交評議会(CFR)で講演し、政策についての見解を示す予定だ。
米ジョンズ・ホプキンス大学のジョナサン・ライト経済学教授は金融当局について、「成長鈍化はグレート・リセッション(大不況)よりも前からの生産性の動向や人口動態といった要因に起因するもので、近いうちに流れが反転することはないとの結論に至った」との分析を示した。
原題:Fed Lowers Long-Run U.S. Rate Outlook as Growth Outlook Dims(抜粋)
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