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ソフトバンクがビューに投資-サウジ記者殺害事件後で初の大型案件

  • ビューは熱や日差しの量を自動的に調節するダイナミックガラス製造
  • 出資額は11億ドル-空港や病院、オフィスビル向けに販売伸びる
ソフトバンクの孫正義氏

ソフトバンクの孫正義氏

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

ソフトバンクグループの「ビジョン・ファンド」(SVF)は、屋外からの熱や日差しの量を自動的に調節する「ダイナミックガラス」を製造するビューに11億ドル(約1200億円)を投じる。SVFにはサウジアラビアの政府系ファンドが出資しており、同国出身ジャーナリストの殺害事件を巡ってサウジが国際的な非難を招いた後では最初の大型投資となる。

  シリコンバレーを拠点とするビューの「スマートウインドー」技術は、インターネットに接続した窓ガラスの色合いのレベルを顧客が管理できるようにするもので、冷房費の節約につながるほか、ブラインドなどの付属品が不要になる。ビューはこうした新しいタイプのガラスの開発に約10年をかけ、この2、3年間に空港や病院、オフィスビルへの販売が伸びている。

  今回の投資はミシシッピ州にある工場の2倍拡張やより革新的なアプリケーション向けのガラス開発継続の支援を目指している。ビューのラオ・マルプリ最高経営責任者(CEO)は「窓はこれまで変化しない静止した物体だった。われわれは窓を初めてデジタル化している」と語った。

  ビューは今回出資を受ける前に米コーニングやマドローン・キャピタル・パートナーズ、TIAAインベストメンツ、ニュージーランドの政府系ファンドなどから約8億ドルを調達している。新たな11億ドルの調達ラウンドではSVFが唯一の資金提供者となる。今回の取引でのビューの評価額について双方ともコメントを控えた。マルプリCEOによると、今回の合意には数週間かかっており、サウジ記者ジャマル・カショギ氏の殺害事件前から進められていた。

  約1000億ドル規模のSVFは、サウジの政府系ファンドから450億ドルの出資を受けている。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が、SVFの資金調達で今後もサウジに参加を求めるかどうかは不明。

  ビューの製品価格は通常のガラスの約4倍だが、エネルギー費用を約20%低減しシャッターやシェード、ブラインドが不要になることで顧客は節約できると同社は説明。また、労働者や病院患者はスマートガラスのある建物内で過ごすと健康状態が改善するという研究にも言及している。

  同社の大口顧客にはダラス・フォートワース国際空港があり、同空港は窓ガラスによってターミナル内を涼しい状態に維持できたとみている。ビューはフェイスブックやフェデックス、JPモルガン・チェースなども顧客としている。

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ダラス・フォートワース国際空港の窓ガラス

ソース:View Inc.

原題:Saudi Vision Fund Invests $1.1 Billion in a Window Glass Maker(抜粋)

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