ビットコインだけじゃない-静かな17年に大きく動いた資産
Eric Lam-
カタールやウズベキスタンの通貨、アルゼンチン株も
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今のようなボラティリティーの小ささ自体が来年の懸念材料にも
これだけ市場が静かなら、マクロトレーダーがボーナスについて心配するのは当然だ。
世界の金融市場を深く掘り下げて検証しても、株価指数や国債、通貨、商品を含めた資産クラス全般における250程度の資産で、年間平均からの外れ値「アウトライヤー」となったのは今年、7つにとどまる。ブルームバーグが21日時点で集計したデータによれば、年間ベースでは2014年以来の少なさだ。標準偏差換算のZスコアで2.326以上を高ボラティリティーアウトライヤー資産と定義した。
仮想通貨ビットコインを通貨に分類するならば、7つのうち6つが通貨。残りの1つがアルゼンチン株の指標、メルバル指数で今年約70%値上がり。ティー・ロウ・プライス香港のアジア太平洋マルチアセットソリューション責任者トーマス・ポーラウエック氏は、世界の主要中央銀行が効果的に政策を伝えたことで、今年は「市場にボラティリティーを本当に生み出すニュースがほとんどなかった」と指摘した。
トランプ米大統領の保護貿易主義に基づく行動が米中の貿易戦争の引き金となるなど、実際には起こらなかったが年初時点での投資家が直面していたリスクシナリオが幾つかあった。米国と北朝鮮の衝突に加え、オランダやフランス、ドイツでの選挙で反欧州連合(EU)を掲げる政党が勝利する可能性も取り沙汰されていた。
ほとんど想定されていなかったシナリオの1つが、サウジアラビアなどがカタール断交に踏み切ったことだ。カタールの通貨リヤルは急落。Zスコアは4.354となった。ウズベキスタンは投資を呼び込もうと9月に通貨切り下げを発表。ウズベキスタン通貨スムのZスコアは4.351。価格急騰でバブル懸念が広がったビットコインは、通貨としては今年6番目に大きなボラティリティーだ。
米S&P500種株価指数に連動しいわゆる恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)のZスコアは20年ぶりの低水準。18年に何が起こるかという点では、こうしたボラティリティーの小ささ自体が懸念材料ともなり得る。ポーラウエック氏は「年末にかけての私の心配は、全てが順調に見える比較的心地良いという感覚がさらに強まることだ」と話した。
原題:Bitcoin, Argentina & Qatar: the Standouts for Volatility in ’17(抜粋)