米シティグループが日本で海外ヘッジファンド向け業務を拡大へ
日向貴彦-
海外勢の日本株への関心高く、株の貸借取引などサービス強化
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トレーダーとセールスを2人採用する計画-シティ証の古海氏
米シティグループは、日本でプライムファイナンスと呼ばれるヘッジファンド向け業務を拡大する。2014年10月に同ビジネスを立ち上げたが、海外投資家の日本株への関心の高まりから、株の貸借取引などサービスを強化する。
シティグループ証券の古海敏勝インベスター・サービス本部長はブルームバーグ・ニュースの取材で、7月までにプライムファイナンス業務でトレーダーとセールスを2人採用する計画で、それにより陣容を2倍にすると述べた。欧州系投資銀行からの起用となる。
シティは世界規模でエクイティ業務を拡大させるため、ヘッジファンド向け事業の強化に取り組んでおり、そのためのサービス拡充が課題となっている。日本では15年にリテール銀行・カード業務から撤退して以降、日本株業務など機関投資家向け事業を強化している。
古海本部長は、プライムファイナンス業務について、「日本では拡大の余地がある」と述べた。「日本はマーケットの規模がアメリカに続いて大きいことや、先進国であり、流動性が潤沢であること、また取引システムが発達していることから、ヘッジファンドにとって日本は外せない」と述べた。
クオンツHF
また、シティグループは今月から世界に先駆けて日本で、クオンツ・ヘッジファンドの取引に対応するクオンツ・プライム・ブローカレッジのプラットホーム上での取引を開始する。今後同ヘッジファンドとの取引を拡大する考えだ。
日本株市場には外国人投資家が戻りつつある。フランス大統領選が波乱なく終わるなど当面のリスクが和らぎ、良好なファンダメンダルズや相対的な出遅れ感が意識されつつある。日経平均株価は1年5カ月ぶりの2万円を突破をうかがっている。
プライムファイナンスはヘッジファンドを支援する業務で、証券の貸借、資金調達、担保設定、取引決済、有価証券の管理などを行い、主に外資系金融機関の収益源になりつつある。
海外勢、5週連続で買い越す
日本株売買代金の7割を占め、今年の相場低迷の要因となっていた海外投資家の売り越し姿勢にも変化の兆しが出始めている。日本取引所グループの投資部門別売買状況の調査(東証、名証1・2部等合計)によれば、海外投資家は5月1週(1-2日)まで現物株を5週連続で買い越している。
古海マネジングディレクターは、日本の政治は安定していて、日経平均も上がっていくとの見通しから、「海外のヘッジファンドによる株の取引ニーズが高まっている」と述べ、同社にとって長期的に収益獲得の機会があると語った。
古海本部長は成蹊大学卒業後、1992年に三菱銀行に入行。その後、JPモルガン・チェースやバークレイズで勤務した。JPモルガンでは外国為替営業共同部長を務めた。
英語記事:Citigroup to Bolster Brokerage Business for Hedge Funds in Japan (1)