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米大統領:大手銀分割検討、米朝首脳会談に前向き-インタビュー

更新日時
  • グラス・スティーガル法復活の取り組みを後押し
  • 連邦ガソリン税引き上げの可能性を排除しない-インフラ建設原資で

トランプ米大統領は1日、ウォール街の銀行の分割を積極的に検討していると述べ、消費者向け融資業務と投資銀行業務の分離を定めた大恐慌時代の法律、グラス・スティーガル法を復活させる取り組みを後押しした。

  トランプ大統領はホワイトハウスの大統領執務室でブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「私は今それを検討している」とした上で、「旧制度への回帰を望む人たちも一部いる。だからそれを検討する」と説明した。

  大統領はまた、インフラ建設の原資として連邦ガソリン税を引き上げる可能性を排除しないと発言。共和党保守派に不人気な政策もホワイトハウスが検討していることがあらためて浮き彫りとなった。

北朝鮮

  北朝鮮問題に関してトランプ大統領は、政治顧問らからは反対されているが、一定の条件が整えば、軍事衝突を回避するために自分は金正恩朝鮮労働党委員長との会談に前向きだと語った。また共和党の医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案は少なくともオバマケアと同程度、持病がある米国民を守る内容になっていると述べた。

  トランプ大統領は選挙戦中、1933年グラス・スティーガル法の「21世紀」版を施行すべきだと訴えていた。昨年の共和党綱領も銀行分割の復活を掲げていた。同法は1999年に当時のクリントン大統領の下で廃止された。

  一部議員は同法廃止が2008年の金融危機の一因になったと指摘するが、ウォール街はこうした見方を否定している。トランプ大統領が独力で同法を復活させることはできず、議会が新版の法案を可決する必要がある。

  ムニューシン財務長官やコーン国家経済会議(NEC)委員長らトランプ政権の重鎮はグラス・スティーガル法の修正版の復活を支持しているが、その内容の詳細はほとんど明らかにされていない。ムニューシン、コーン両氏ともゴールドマン・サックス・グループの出身者。

  大手銀は、銀行の業務分離復活への議会の関心は薄いとみている。個々の議員の関心の低さに加え、議員らは現在、保険制度改革法(オバマケア)廃止や税制改革といった、より緊急性の高い問題に忙殺されている状況だ。

険しい道のり

  ウォール街批判の急先鋒(せんぽう)、民主党のエリザベス・ウォーレン議員らは今月、グラス・スティーガル法の新版を策定する法案を提出したが、上院共和党議員で支持したのはジョン・マケイン議員1人だけだった。このことから、新たな法案の議会通過は険しい道のりが予想される。2月の金融ルールに関する大統領令を巡り財務省で開かれた銀行幹部との会合では、グラス・スティーガル法はほとんど話題に上らなかった。

  銀行規制に詳しいキャピタル・アルファ・パートナーズのアナリスト、イアン・カッツ氏は「これは短期どころか、中期のリスクでもないだろう」と指摘した。

  米主要銀行24行で構成されるKBW銀行指数はトランプ大統領のコメントが報じられる前は一時1.2%高だったが、報道後に約1ポイント下げた。その後、回復し、終値は0.9%高。
  
  トランプ大統領は米国にとって最も差し迫った外交・安全保障問題である北朝鮮への対応について、金委員長と「会うのが適切ならば、断固として会うつもりだし、それを光栄に思う」と発言。「政治に携わる人は決して口にしないだろうが、適切な状況の下であれば会うつもりだ」と述べた。

1QGDP

  大統領はまた、前期比年率0.7%増にとどまった1-3月(第1四半期)の国内総生産(GDP)速報値について、「実にひどい」と発言。「第1、2四半期は、実際のところ私が関係する四半期ではない。前政権が残したものだ。公正を期すために言うが、私はまだ就任したばかりだ」と語った。

  ホワイトハウスに招いたフィリピンのドゥテルテ大統領については、同国は「戦略的にも軍事的にも非常に重要だ」とした上で、「麻薬問題に大変厳しい態度で臨んでいるが、それもこの問題の深刻さ故だ」と、人権団体から非難されている同大統領を擁護した。
  
原題:Trump Weighs Breaking Up Wall Street Banks, Raising Gas Tax (1)(抜粋)

(8段落目以降に法案の見通しなどを追加して更新します.)
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