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石破氏:PB黒字化変えたら終わり-異次元緩和「いつまでもは困る」

  • 国債が暴落しないのは「いつか必ず消費税上げると思っているから」
  • 金融政策、物価上昇の自己目的化は「変ではないか」

自民党の石破茂元幹事長は、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標について「変えたら終わりだ」と述べ、堅持すべきだとの考えを示した。物価目標の2%を目指して大量の国債を購入し続けている日本銀行の金融政策についても「異次元の政策がいつまでも続いてもらっても困る」と語った。 

  26日のインタビューで、「通貨に対する信認はすごく大事」であり、「PB黒字化は絶対必要だと思っている」と語った。財政赤字が拡大し大量の国債を発行しているにもかかわらず、国債相場が暴落(金利が急騰)しないのは、投資家が「いつか必ず日本は消費税を上げると思っているからであり、どうも本当に上げないみたいだということになったら、もういいや、ということになるのではないか」と述べた。

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都議選の応援に駆け付けた石破氏。23日、都内で。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  安倍晋三政権が2度にわたり消費増税を延期したことについては「消費税をきちんと上げるという意思が本当にあるのか」と疑問を呈した。仮に来年12月までに行われる衆院選で、「また消費税を上げないなどと言えば、この国は本当にどうなるのか」との懸念も示した。

  政府が9日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」は、「PBを20年度までに黒字化し、同時に債務残高対国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げを目指す」と明記。昨年の骨太方針では、注釈として、PB黒字化と「その後の」債務残高対GDP比の引き下げを目指すと書かれていた。エコノミストの中からは、こうした政府の対応はPB黒字化目標先送りの布石との見方も出ている。

金融政策

  アベノミクスの第一の矢を担う日銀については「金融政策は何のためにやるのか、物価を上げることが自己目的みたいになっているのは変ではないか」と指摘。2%目標は維持すべきとしながらも、「人々の賃金が上がり、設備投資が増えることが目的であって、物価が上がることが目的ではない」と述べた。

  さらに、異次元の金融緩和が効果を発揮したのは「恐らく大企業」であり、原油安と円安で空前の利益を上げ、ベアも確かに実施はされたが、「あまり恩恵に浴していない人が圧倒的多数だ」と指摘。円安と原油安で一時的にもうかったお金で税収も増えたものの、それをまた景気対策に使うのは「政策としていかがなものか」と語った。

憲法改正

  石破氏は1957年2月生まれの60歳。2012年の自民党総裁選で安倍首相と決選投票を争った後、党幹事長、地方創生担当相を歴任した。自民党の憲法改正推進本部では顧問に就任し、党内議論に参加している。 

  自民党の改憲案取りまとめについては「いい議論、いいものができるんだったらば早ければ早いほどいい」としながらも、「時間切れということで、ましてや憲法9条において時間切れだからこれでいきます、ということがあっていいとは思わない」と述べ、拙速に議論を進めるべきではないとの考えを表明した。

  共同通信によると、安倍首相は24日、神戸市での講演で、2020年の改正憲法施行を目指し、秋に想定される臨時国会に自民党の改憲案を提出する考えを表明。下村博文幹事長代行は25日、遅くとも11月上旬ぐらいに案をまとめる必要があるとの認識を記者団に示した。

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