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ノルウェー政府年金基金、対日不動産投資拡大へ-年2000億円の資金力

  • 同基金は世界最大の政府系ファンド、不動産は全体の2.5%
  • 来日した不動産部門CEOがインタビューで語った

世界最大の政府系ファンドのノルウェー政府年金基金は、昨年初めて行った日本の不動産投資を今後本格的に拡大し、良い案件があれば年2000億円程度の投資が可能な資金力があることを明らかにした。来日した不動産投資部門CEOのカーステン・カレビッグ氏が7日、都内でのインタビューで語った。

  石油収入を財源とする同基金は運用資産額が1兆ドル(約110兆円)規模あり、政府系ファンドとしては世界最大。東京には2015年に事務所を設立、昨年12月に初の対日不動産投資として都心部のビル5件の所有権の7割を約930億円で取得した。同基金のグローバル不動産投資の中で、カレビッグ氏は、東京という投資対象は「当然の選択肢だ」と述べ、理由として人口流入や活発な経済活動、不動産の需給ひっ迫などを挙げた。

  世界的な低金利が続く中、海外投資家による対日不動産投資は活発化している。都市未来総合研究所の調査によると、昨年の海外投資家の対日不動産取得額は1兆1000億円と前年の3倍に拡大、1997年の調査開始以来の過去最高。昨年は同基金のほか、ゴールドマン・サックス・グループやプルデンシャル・ファイナンシャルグループなどの不動産取得も相次いだ。

  特に東京は海外の都市と比べて、不動産投資の収益率と長期金利の差(イールドスプレッド)が大きく、投資妙味が高い。ドイチェ・アセット・マネジメントのリポートでは、昨年9月の東京オフィスビルは平均で約4%と、ニューヨークやロンドンの2%台を上回る。

ノルウェー政府年金基金 不動産投資の拡大余力

不動産投資比率は上限7%に対し、現在は2.5%にとどまる

出所:NORGES BANK REAL ESTATE MANAGEMENT、四半期資料

2017年9月現在

  今後の対日不動産投資の規模について、カレビッグ氏は具体的な目標は示さず、急いで投資の規模を増やす考えはないとしたものの、「投資は合理的に行う。良い投資に対しては大きな資金がある」と語った。

  ノルウェー政府年金基金の投資対象の比率は17年第3四半期現在で株式投資が65.9%、債券投資は31.6%、不動産は2.5%。不動産投資の国別比率は米国が約5割、英国24%、フランス15%で、アジアは東京が初めて。ノルウェー政府は不動産投資の上限を7%としており、投資余力が残っている。

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