SEC職員は有能な株式トレーダー、売り時の判断は絶妙ー調査報告書
Sarah Ponczek-
企業の捜査に入る前に株式売却を職員に義務付ける法律が影響
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年間リターンはインサイダー取引にも引けを取らない
米証券取引委員会(SEC)の職員が株式トレーディングで利益を得る不思議な能力は、SECの利益相反を一掃することを目的とする法律に由来しているようだ。米大学教授ら2人が新たにまとめた調査報告書でこう指摘した。
コロンビア経営大学院で会計・監査を教えるシバラム・ラジゴパル教授とアリゾナ州立大学で会計学を教えるロジャー・ホワイト準教授は、「SEC職員の株式取引」と題する調査報告書で、SEC職員は株式を売却するのに市場の誰よりも良いタイミングを選ぶ傾向があると指摘した。これは、米連邦法がSEC職員に対し、捜査を担当する企業または担当から外れる企業の株式の処分を義務付けているというのが論理的な説明の一つだ。
両氏は、SECが企業幹部や市場参加者を対象とするインサイダー取引規制の執行を米議会から任されていることを踏まえると、SEC職員の株式売買におけるリスク調整後利益の異様な高さを示唆する今回の調査結果は注目に値すると述べた。
両氏によると、2009年末から2011年にSEC職員が行った7000件を超える売買を模したヘッジポートフォリオの一つでは、リスク調整後利益が全ての証券を対象とした場合に年4%となり、米国の普通株だけを考慮した場合には年8.5%と倍以上になった。これは違法行為であるインサイダー取引の年約6%のリターンに引けを取らないという。
SEC広報担当の1人、ライアン・ホワイト氏はこの調査報告書に関してコメントを控える一方、捜査対象企業の株式をSEC職員が売ることを規制するSECルールに言及した。このトピックはラジゴパル教授が2014年に発表した学術研究論文で初めて公にされたが、規制が影響している可能性については言及していなかった。
原題:New Theory on Why SEC Workers Are Such Winning Stock Traders (1)(抜粋)